株式会社カネマル

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お知らせ

2021-07-16 11:10:24 【こぼれ話】

生産者インタビュー「農業と人」 河田孝さん 十勝清水町御影(みかげ) 

当HPで新しく連載させていただきます生産者インタビュー「農業と人」。

今回は、十勝清水町御影で畑作をしている河田孝さん(68)にお話をお聞きしました。

 

―河田さんは、どのような作物を作られていますか

豆は小豆4ha・金時6ha・黒大豆2ha、その他、ビート・小麦・カボチャなどを作っています。

―清水町御影地区の農業の特徴や歴史を教えてください

剣山や芽室岳など日高の山々を背負っており冷涼で河川が豊富。土地は黒色火山灰土で、かつてはなかなか思うように収量が取れず苦労していました。最近は温暖化の影響と農業技術の向上で、同町の熊牛地区などと比肩するようになりましたね。20年前は小豆で1反あたり3俵とれたら御の字で、そのころ熊牛地区は1反あたり5俵とれていた時もあったわけですから、その差は大きかったです。

※反=10a、俵=60kg

 

―確かに、1.5倍近くは大きな差ですよね。でも、気温が高くなるということは、農業にとって良いこととは言い切れないとも聞きます

作物にとって高温は良くても28℃までで、それ以上は害になる可能性が高い。あくまで積算気温勝負なので、最低気温の高低こそが注視すべきポイントです。一方で、高温以外にも長雨や収穫期の天気の乱れなども起きやすくなってきていると感じます。現在の豆の収穫は、コンバインで一気に行いますが、どうしても天気が許さないときや畑に入られないときは、今でも一部の畑で昔ながらの「ニオ積み」をすることもあります。もちろん手間ですが、やっぱり畑づくり・播種・収穫と半年付き合っているわけですから「いいものをとりたい」という純粋な思いが勝るんですね。

※参考資料:ニオ積み風景

 

―お話させていただいると「堅実・用意周到」という安心感を河田さんからはいつも感じます

周りに助けてもらって、わかったことが沢山あるからこそ今の自分があるということでしょう。若いころはいろいろな方法を試したり、結構攻めたりしてきました(笑)。なかなかうまくいかず助けてもらうことが本当に多かった。やはり、基本に忠実なうえで「攻められるときにしっかり攻める」ことが一番だと思います。

 

―河田さんとカネマルの付き合いについて聞かせてください

ずっと豆を納めさせてもらっており、金本会長とはとても長い付き合いです。現在は、一緒に農業法人も作っています。また、私は、溶接や機械修理を得手としていたことから、昔から工場や機械の修理などをやらせていただいていました。ですので、一農家として以上のお付き合いをさせてもらっており、豆の調整の苦労話やカネマルさんから購入していただいているお客様のお話を頻繁に聞けるので、うれしい立ち位置だと感じています。

―多才な河田さんですが、ご趣味はありますか

趣味は本当にないんです。農業や機械修理、鍛冶屋がライフワークそのものでして・・・。しいて言えば、ウィスキーが大好きで、シングルモルトを1~2杯ゆっくり飲めると、1日が豊かに終わりますね。翌日も楽しく農業をするために、大事な儀式です。

 

―確かに、河田さんのお顔からは「農業が好き」という笑みがいつもこぼれている気がします!

農業は厳しい、けど楽しい。仕事として農業が好きなんだとつくづく思います。そして、好きか嫌いかは人生にとってとても大きなことですよね。ただ「農家を継ぎました」では、壁にぶつかったり落ち込んだりした際に、立ち直るのに時間がかかるし、あきらめにつながることも。一方、好きだからのこそ伸びるのは間違いない。良い例として、近所に幼少期から農作業を見るのが好きな少年がいて、今、彼が青年となって実際に農業をしている姿を見ると頼もしいし、反収など実績も良いことから「好き」ということの大切さを改めて認識させられます。

―最後に、今後の抱負・ご自身の方向性についてお聞かせください

私にとって農業は人生そのものだから、一生やり続けていきたいですよね。歳もとり体がなかなかいうことを聞かなくなってきてはいますが、たとえ面積を減らして1haのみになったとしても、夫婦で「今年は何を作る?」という話を楽しみながらしたいものです。

文・撮影 宮本 敬